ポテンツァは誰に効く?適応と限界、時間経過まで

ポテンツァのご相談は、本当に幅が広いです。

毛穴、ニキビ跡、肌質改善、軽いたるみ、肝斑まで。

「一本で全部いけますか?」と聞かれることもあります。

正直に言えば、相性の良い悩みと、そうでない悩みがはっきりあります。

私はいくつかの方針の異なるクリニックで診療してきましたが、場が変わっても“効きやすい人の共通点”と“伸び悩みやすい人の共通点”はたしかに存在する、と感じています。


ポテンツァの仕組みとリモデリングの時間軸

そもそもポテンツァは、極細の針で真皮に到達し、針先から高周波(RF)を点状に流す治療です。レーザーのように表皮で強い熱を作らず、真皮を選択的に加熱できるのが肝です。熱凝固柱の周囲で創傷治癒が立ち上がり、Ⅰ型・Ⅲ型コラーゲンの再配列、弾性線維の再構築、線維芽細胞の増殖シグナル(TGF-βや熱ショックプロテインの誘導)などがゆっくり進みます。コラーゲンは一晩では作れません。臨床的な変化は数週間で兆しが見えて、3〜6か月でまとまってくる。ここをイメージとして持っていただくと、治療計画がぶれません。

効きやすい症例と打ち方の考え方

効きやすいのは、まず毛穴目立ちと軽度の凹凸です。皮脂が多めで、鼻〜頬の開大毛穴、あるいはローリング型・ボックスカー型の浅いニキビ瘢痕。これらは真皮上〜中層の支持力が落ちていることが多く、RFで支柱を足すイメージが合います。さらに、フェイスラインの軽いたるみや、ちりめんジワの初期段階も適応です。モノポーラでやや深層のバルク加熱、バイポーラで浅層を精密に、という“層ごとに狙いを変える打ち方”がハマると、メイク乗りの変化が早い段階で分かります。私の手元感では、肌が薄すぎず、多少の皮脂と厚みがある方は反応が素直です。

単独では限界があるケース

一方で、アイスピック型の深いニキビ跡は、単独では限界があります。真皮の点状欠損が鋭く深いので、TCAクロスサブシジョン、場合によってはフラクショナル炭酸ガスレーザーを併用して、欠損の“形”そのものに手を打つ必要があります。肥厚性瘢痕・ケロイド傾向は方向性が違いますので、ステロイド局注や圧迫など別の軸の治療です。重度のたるみも同様です。皮下脂肪の重みが強い顔、広い皮膚余りがある顔は、HIFU、外科的な引き上げを検討しないと“熱で縮めるだけ”では現実的でないことが多いです。

肝斑へのアプローチ

肝斑についてはよく質問をいただきます。RFは光と違ってメラノサイトを直接刺激しにくい分、炎症後色素沈着のリスクを抑えながらトーンアップを目指せる可能性があります。ただ、肝斑は“波”が本質で、ストレスや摩擦、女性ホルモン、紫外線などの影響で良くなったり戻ったりします。外用・内服・生活ケアを地道に並走できる方は手応えを感じますが、「1回で長年の肝斑を消し切りたい」という期待だと齟齬が生まれやすい。ドラッグデリバリー用のチップでトラネキサム酸などを導入する選択肢もありますが、私は“補助輪”くらいの位置づけで説明します。導入それ自体が魔法ではなく、ベースの“塗る・守る”が軸です。

赤み・酒さ体質と炎症性ニキビ

赤みや酒さ体質についても触れておきます。毛細血管拡張が主役の赤みは、RFニードルだけでは動きづらいことがあります。熱で真皮を締めることで見え方がマイルドになる方はいますが、血管径そのものは色素レーザーの領域です。逆に炎症性ニキビが散発するタイプでは、真皮の熱で皮脂腺の活動が落ち着き、ニキビが出にくくなる手応えが出る方がいます。膿疱が顔全体に多発している最中は、まず炎症を鎮める側に寄せますが、火種が落ち着いてからの再発予防としては相性が良い印象です。

肌質・生活習慣が結果に与える影響

肌質も分かれ目になります。薄くて乾きやすい肌、もともと赤みが長引きやすい肌は、設定を丁寧に落としてもダウンタイムの不快感が先に立ち、効果実感に辿り着くまでに心が折れやすい。逆に、角層のバリアが安定していて、紫外線対策と保湿が習慣になっている方は、熱を入れた後の“組み立て期間”を上手に見守れるので、曲線が素直に右肩上がりになります。これは医学というより生活習慣の話ですが、結果を大きく左右します。

「効かない」典型と通院設計

「効かない」の典型は、適応外と、“時間軸が合っていない”ケースです。コラーゲンリモデリングは生理現象で、180日スパンの話です。1回で劇的、というよりは、4〜6週間間隔で数回、そこから熟成を待つ、が設計の基本です。通えない、あるいはダウンタイムが1日も取れない、スキンケアや紫外線対策に手が回らない。こうした条件が重なると、ポテンツァの良さがなかなか表面化しません。通院が難しい時期は、無理に始めない選択も十分“正解”です。

機器の特徴と最終的に重要な要素

ポテンツァはその系統の新しめの機種で、モノポーラ/バイポーラの切り替えや、半絶縁のチップ、外用薬を押し込む発想のチップなど、選択肢を広げたのが特徴です。技術は便利になりましたが、最後は“誰に、どの深さで、どんな密度で入れるか”。そこがすべてです。

向いている人・向いていない人

では、結局どんな人が向いているのか。毛穴と浅い凹凸、初期のたるみ、軽いニキビの再発予防。生活ケアが並走できて、数回の通院と熟成期間を許容できる方。この条件が揃うと、ポテンツァは静かに、でも確実に輪郭を整えてくれます。向いていないのは、深いアイスピック、重たいたるみ、そして“今日の自分を明日別人にしたい”という時間設計です。適応外は素直に別の手段へ、適応内は焦らず積み上げる。私はいつも、その分岐点をできるだけ分かりやすくお伝えしたいと思っています。


まとめ

美容医療は“引き算と足し算”のバランスです。ポテンツァは足し算の良い道具ですが、なんでも解決する万能医療ではありません。適応を見極め、過度な期待はそっと外して、できることを淡々と積む。そんな姿勢が、一番遠くまで連れて行ってくれると感じています。

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