72時間と6週間。この二つの数字が、ポテンツァの「効いた気がする」と「本当に変わった」を分けます。治療直後〜3日ほどは、微細な針と高周波による軽い浮腫とコラーゲン収縮で、肌がふっくら・つやっと見えます。ただ、これは一過性です。真皮での線維芽細胞が動き出し、新しいコラーゲンが沈着して形として定着するのはおおむね4〜6週間以降で、3か月前後までゆっくり熟成します。ここを知っておくと、一回で何を期待すべきかがぶれにくくなります。
ポテンツァは、微細な針先からRF(高周波)を真皮に流し、点状の熱凝固ゾーンを作ります。60〜70℃前後の短時間の熱でコラーゲンは一度ぎゅっと縮み、のちにリモデリングが起こる――美容医療ではおなじみの機序です。チップの種類(例:Tiger TipやFusion Tip)、モノポーラ/バイポーラの切り替え、穿刺深度、出力、密度。こうした条件の掛け算で、狙える層と効果の質感が変わります。毛穴・小じわ・ハリ感なら真皮上〜中層の密度を、萎縮性ニキビ痕ならより深層の瘢痕組織に届く設定を、皮脂やざらつきには浅め・面でのアプローチを、といった調整です。逆に、肝斑のある方は強い熱でメラノサイトが過敏になりやすいので、薬剤導入を含めて慎重に設計します。
では一回で実感できるのか。
結論から言うと、「体感レベルのプラス」は十分あり得ます。化粧のりが良い、手触りがなめらか、Tゾーンのテカりが少し落ち着いた気がする――このあたりは初回からでも珍しくありません。ただ、写真で見比べて誰が見ても変わったと言えるのは、私の印象では2回目以降が多いです。特にニキビ痕のように“形”のある変化は、コラーゲンの再構築が進む時間が必要ですし、面だけでなく点(瘢痕の底)を狙う密度と深さの積み重ねが効いてきます。
回数の目安は、目的で分けて考えるのが現実的です。毛穴や小じわ、全体のハリ感を狙うなら、まずは月1ペースで2〜3回。1回目の「いい感じ」を土台に、2回目・3回目でリモデリングの波を重ね、写真でも分かる質感の差に寄せます。萎縮性ニキビ痕なら3〜5回を見ておくのが妥当です。サブシジョンやTCA CROSSなどの局所治療と組み合わせると、少ない回数で深さを詰められることもありますが、単独でのポテンツァだけで凹みを一気に均す、という発想は現実的ではありません。軽いたるみの引き締めについては、2〜4回を軸に、以後は3〜6か月おきのメンテナンスで質感を保つ設計が相性の良い方が多いです。皮脂やニキビのコントロールは、1〜2回で変化を感じやすいタイプの肌もありますが、炎症が強い時期は先に鎮静を優先させた方が安全です。
「何回やれば終わりですか」とよく聞かれます。ここは少しだけ考え方を変えて、まずは2回で“方向性”を見極めるのが良いと思っています。1回で手応えがあっても、2回目を適切な間隔で重ねたときに、ハリ・毛穴・凹凸のどれが伸びるかがよりはっきり見えます。もし2回終えても変化が乏しければ、設定(深度や密度)を再調整するか、他の治療と役割分担を検討する合図です。逆に、1回目でむしろ赤みが長引いた、という方も一定数います。これは出力の割に密度が高すぎた、あるいはスキンタイプに対して穿刺深度が合っていない、といったミスマッチのサインで、次回はアプローチを変えれば良い結果につながることが少なくありません。
ダウンタイムは、赤みが当日〜翌日、肌のざらつきが数日、部位によっては小さな内出血が1週間ほど。翌日からのメイクで隠せる範囲に収まることが多いですが、予定の詰まった週は避けていただくと安心です。ホームケアは、日焼け止めの徹底と、刺激の強いレチノールやピーリングは1週間ほど休む――この二つだけでも仕上がりが変わります。薬剤導入(例:トラネキサム酸、成長因子等)は、目的や肌質次第で相性が分かれます。肝斑傾向のある肌に強い熱と刺激的な薬剤を同時に入れるのは、個人的にはあまり好みません。
複数のクリニックでポテンツァを担当してきて、正直驚いたのは「同じ機械でも、設定と手つきで別物になる」という点でした。
針の入り方が浅くなると熱が散ってしまい、逆に深すぎると目的の層を外します。密度を上げすぎれば赤みが長引き、下げすぎればリターンが弱い。さじ加減が結果を大きく左右します。ある時、早く結果を出そうと密度を攻めすぎて、赤みが想定より長引いた患者さんがいました。さすがに焦りましたが、以後は深度と密度のバランスを丁寧に再設計し、以降はむしろ写真での変化が分かりやすくなりました。こうした微調整の余地が大きいのも、ポテンツァの難しさであり、面白さだと思っています。
一回で「良い感じ」は起こり得ます。ただ、写真で伝わる変化をきちんと狙うなら、目的に応じた2〜5回の積み重ねが現実的です。72時間の“見た目のご褒美”に心強さをもらいながら、6週間以降の“本当の変化”を待つ設計。この時間軸を知って、焦らずに積み上げていくことが、結局は近道になります。もし迷われているなら、まずは2回の計画と、その後の見直しポイントを一緒に決めておく。私はそのくらいの距離感で、ポテンツァと付き合うのが好きです。
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